発達障害グレーゾーンとは
グレーゾーンというのは正式な名称ではなく、
発達障害であると断言できないものの「発達障害の傾向がある」という状態を表す一般用語として使われます。
「グレーゾーン」=「症状が軽い」というわけではない
正式に発達障害と診断されていないからといって症状が軽いわけではありません。
発達障害は大きく分けると「自閉症スペクトラム障害(ASD)」「注意欠陥多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」の3種類がありそれぞれに診断基準というものが決まっています。
例えばADHDの場合、約10個ほど診断基準の項目がありますがそのうち6個症状が当てはまらなければ『発達障害』とは診断されずグレーゾーンになります。
要するに当てはまる症状が5個以下の場合は『グレーゾーン』と診断されるわけですね。
ちなみに各症状の強さは判断基準に入っていないようで深刻なレベルで症状がひどくても条件に当てはまっているのが6個未満であればグレーゾーンとされるとのこと。
発達障害の特性がある人は「ADHDの特性だけ」「ASDの特性だけ」というように一つの症状だけでるわけではなく「ADHDの特性の一部+ASDの特性の一部」のように複数組み合わせた症状がでるのが一般的です。
今の医療の診断基準では「ADHDにあてはまるか?」「ASDにあてはまるか?」といったように個別でしか診断してくれないため複数の症状を持っている人にとってはかなり不利なようです。
グレーゾーン当事者が日常生活で抱えやすい悩み
最近でこそ「発達障害」という言葉が知れ渡ってきましたが、
数年前まではそれほど認知されておらず成人して社会に出て働くようになってから発覚するケースも少なくありませんでした。
かくいう私自身もその一人です…。
健常者と比べると作業スピードが遅かったりするので学生時代は周りに比べられたりと自信を喪失してしまう人もいるしょう。
コミュニケーションがとれない/友達を作りにくい
「人の表情を読む」「言葉の裏にある意図を掴めない」といったように対人関係において障害があるため会話がかみ合わなくなることもしばしば…。
さらに言葉を理解するのにも時間がかかるので普通の人と比べるとどうしてもレスポンスよく返答することができません。
また「相手の表情を読む」「言動の裏の意味」といったことの理解も難しく、
他人に配慮したり思ったことをすぐに口に出してしまったりと言い争いになることも少なくありません。
そのため『変な人』と周囲から距離を取られてしまうケースもあります。
時間厳守が苦手
全体像の把握や時間の配分を考えることが苦手な傾向があります。
そのため効率よく行えば10分程度で終わることでも1時間以上かかってしまうという事例も多いとか…。
また、公共料金の支払いのように期限が決められたものの支払いを送れ電気が止まってしまうという事態もたびたび発生します。
物忘れがはげしい/管理ができない
「通帳の紛失」「掃除を忘れる」といったように自身で管理する能力が低いので物だけでなく必要な作業まで忘れてしまうことがあります。
症状の重さは人によって違いますが一人暮らしをする予定がある方はあらかじめ訓練をしておかなければ生活が破綻することになります。
好きなことに集中しすぎてしまう
自分の興味のないことに対しては全く集中できない反面
「好き」「興味のあること」に関しては異常なほど熱中してしまう人がいます。
何時間もぶっ通しで作業を続け寝食を忘れ学校や会社に支障をきたすという事例も…。
空間把握能力が低い/掃除や車の運転が苦手
空間を把握する能力が低いため物と物との位置関係を見極めることが苦手な方もいます。
そのため車体感覚をうまくつかめず車をどこかにぶつけてしまうというようなトラブルを起こすことも…。
掃除をする際はどこに何を片付ければいいのかという判断が難しいため当人は片付けているつもりでもむしろ散らかっているというのもよくあるようです。
グレーゾーン当事者が仕事をする上で抱えやすい悩み
会議等の会話についていけない
専門的な言葉が飛び交うような会議、かつ複数人いるような場合では脳の処理が追いつかずに置いてけぼりになることが多くなります。
そうすると周りからは「話を聞いていない」「自分の意見がない」など仕事ができない人間と思われてしまうので職場での立場がどんどん悪くなっていきます。
思い込みが激しい/
一度でも「こうだ!」と思い込んでしまうと確認もせずに突っ走ってしまう傾向があります。
大きなプロジェクトなどの場合、間違いの発覚が遅れ取り返しがつかなくなるというケースも存在します。
融通がきかない/こだわりが強い
たとえ他に優先して行わなければいけない作業があったとしても別の仕事を優先してしまう。
急な予定の変更に対応が追い付かずに周りに迷惑をかけてしまうということも……。
物や時間の管理ができない
日常生活の項目でも記載したように管理能力が低い傾向にあります。
そのため大事な書類を紛失したり作業の配分を見誤って予期せぬ残業をしてしまったり、プロジェクト全体の遅延を招くこともあります。
仕事に集中できない
机の傷や床の汚れ、窓の外の景色などに気を取られ仕事に集中することが難しいという場合が多いです。
自制心が利かない多動の傾向が強い人の場合は仕事を放り出して掃除をしだしたりと業務に支障をきたすことも珍しくありません。
漠然とした指示では理解できない
「早めに」「適当に」などのあいまいな表現がなかなか理解できないことがおおいため「ゆっくりでいいよ」と指示を受けたりした場合、上司は3日くらいのつもりでいても1週間作業に時間をかけるというような齟齬が起きます。
口頭での説明が理解できない
言葉に対する理解力が低い傾向があります。
そのため「言葉だけ」「文章だけ」というような単一のやりとりの場合、内容を理解するのに極端に時間がかかったり見当違いな受け取り方をしてしまいトラブルになることも少なくありません。