『発達障害』『仕事』とインターネットで検索すると
ほとんどの記事で「プログラマ」が向いていると記載されているように思います。
実際にこの記事を書く前に、いくつかサイトを見てみましたが
どの記事でもプログラマをおすすめとしていました。
しかし、私は発達障害を持つ人はプログラマには向いていないのではないかと考えています。
むしろ向いていないどころか避けるべき職業の一つではないかとさえ思います。
私は発達障害を抱えIT企業に4年間勤めていました。
大きなプロジェクトに関わるなどしてそれなりに仕事をしてきましたが、
発達障害の特性による障害は大きく、たった4年の間に何度も取り返しのつかないミスを繰り返し。
そんな自分に嫌気がさしうつ病に…。
そして、失意にまみれ退職…。となりました。
そんな経験を他の方にも味わって欲しくがないために今回の記事を書きました。
ただ向いていないんじゃないかと思える理由を書いただけの記事ですが、
よろしければお付き合いください。
(ちなみに私は発達障害の「自閉症スペクトラム障害(ASD)」「注意欠如・多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」の3つの複合型の症状を抱えているため、どの特性を持つ人でも参考になるのではないかと思います…。たぶん)
※この記事は会社勤めのプログラマを前提に書いた記事です。
フリーランスのプログラマには当てはまらない内容になっていますので、あらかじめご了承ください。
発達障害者がプログラマが向いているとされる理由
向いてない理由をあげる前に、
一般的にどんな要因で発達障害者はプログラマに向いているのかを調べてみました。
本筋とは外れるため軽くしか書きませんが、
発達障害者がプログラマに向いていると言われる理由は以下のようなものがあるようです。
自閉症スペクトラム障害(ASD)
ASDを持つ人は、「強いこだわり」があるという特性があるため
その特性と仕事の方針が一致した場合に強い力を発揮できるそうです。
完成度の高い成果物を求められるプログラマという仕事においては、
「とことんこだわることができる」という特性は確かに向いていると言えるのかもしれませんね。
注意欠如・多動性障害(ADHD)
ADHDは「固定概念にとらわれない」「行動に移すのが早い」という特性があるため
今までにない新しいものを作り上げるということにシステム開発では良い方向に働くということでしょう。
発達障害者がプログラマに向いてないと思う理由
自閉症スペクトラム障害(ASD)
・思いこみが激しい
ASDは一度、「これだ!」という考えが浮かぶと
その考えが間違っているという疑問すら持たずに進めていく傾向があります。
プログラムは仕様書(設計書のようなもの)を読み解き、
その通りにプログラムを組みますが、間違った解釈をしてそのまま何時間も費やされてしまうと会社としても大損害です。
※私は、他の方が書いたプログラムを見ていて「あっこれ間違ってる」と思い。
よかれた思い手直ししたのが原因でシステムのリリースが遅れるという事態を招いたことがあります。
思いこみは怖い
・コミュニケーションが上手に取れない
この「コミュニケーションが上手に取れない」というのが、
プログラマに向いていないと思える一番の理由だったりします。
結構勘違いされることが多いのですが、
プログラマという職業はPCに向かって作業している時間はそれほど多くありません。
割合で言うと、『打ち合わせなどコミュニケーションを必要とする時間が6割』
『資料作成などの事務的作業が3割』
『プログラムを組む時間は残りの1割…。多くても2割程度でしょう』
というように、人と関わる時間がものすごく長いです。
これは、会社勤めのプログラマであるかぎりどこの会社でも同じような割合になるはずです。
いや本当に、コミュニケーションができないとまともに仕事はできないです。
プログラミングも一人で行うのではなく複数人で分割して作業します。
他の人の作業の進捗度合いも把握しておくため、毎日のように打ち合わせがあったりしますし、
お客様との打ち合わせもプログラマとして参加しなければいけません。
※会議などでまともに話すことができず、
会議の時間は毎回部屋の装飾になってました。
もはやお荷物ですね。
・こだわりが強い
この「こだわりが強い」という特性。
良い例としてあげましたが、実は会社勤めの場合は悪い方に働くことが多いです。
1時間で終わらせて欲しい作業を変なところでこだわり何時間もかけるといった行動は人件費と時間を節約したい会社から見ると印象は最悪です。
こだわりが強いために人間関係で軋轢が生まれることさえあります。
※会議で使用する資料を作成する際に、見やすく作ろうとするあまり時間をかけすぎて会議の時間に間に合わなかったことがあります。
しかも出来上がった資料は、説明したい本筋とはずれていたようで使い物にならないという始末。
『思いこみ』✖︎『こだわり』 夢のコラボレーションです。
注意欠如・多動性障害(ADHD)
・不注意
プログラムを組む以前にこれは会社員としてかなり致命的です。
会社員である以上、資料の作成をすることもありますが誤字や内容の抜けなどがひどく使い物にならないこともあります。
この特性を持っている方なら理解してもらえると思いますが、
どれだけ注意してもミスをなくすのは難しいです。
プログラムはたった一文字間違えただけでも動かなくなります。
機械がある程度、間違っている場所を教えてくれますが
そんなことを数分おきにやっていては時間がかかりすぎてしまって仕事になりません。
※私が作った資料を上司が何も言わずに修正し始めたのを見た時はショックでした。
しかも、まともに使えない内容だったのか、1から作り始めるという…。
2時間で作り上げた資料がゴミになり、20分で上司が作った資料が完璧という現実。
・先を見ることが苦手
目の前にことに囚われるあまり物事の全体像を見るのが苦手な傾向があります。
自分が作業をする際の時間を換算することが苦手なため、トラブルが起きやすいです。
※あれもこれもと作業を頼まれ、「まぁ1日で終わるでしょう」と楽観していたが最後、何一つ終わらせることができなかったという経験が…。
・過集中
ADHDの特性を持つ人の中には、素晴らしい集中力を持っている人がいます。
この特性がある方は、時間を忘れて作業に没頭できるらしいですが、
これは、一般的な会社では裏目にでます。
仕事はスピーディに、ときにはマルチタスクも求められます。
1つのことに何時間もかけられていてはプロジェクト全体の進捗に関わります。
また、この過集中ですが外的要因(電話など)ですぐに途切れてしまいます。
集中が切れた後は、集中力は一般人以下になりまともに仕事ができなくなります。
※どれだけ集中できる状態に入ったとしても、「電話」「会議」「質問」など邪魔が入る要因は多く存在します。
その度に集中力がなくなり、何もできない時間が続いてしまい「サボっているやつ」というレッテルを貼られたことが…。
・衝動的に行動する
これも会社員としては良くない特性です。
この特性があると気が散りやすく、思いついたことを我慢するのが難しい傾向があります。
仕事中であっても、視界に入った汚れが気になり掃除をし始めるというような行動を起こします。
※会議中に窓の外に飛んでいる鳥が気になって話を全く聞いていなかったり、
在宅勤務中に気がついたらシャワーを浴びていたなんて経験もありました。
学習障害(LD)
・「聞く・話す」が難しい
前述しているようにプログラマは、打ち合わせなど人と関わることが多いので
「聞く・話す」にことが難しいと当事者だけでなく周りも迷惑を被ります。
具体的にどう困るかというと、「聞く」能力に問題がある場合
相手の言っていることは聞こえていても内容が頭に入らず理解ができないということが起こり、何度も同じことを繰り返し聞きなおしたり間違ったことをしてしまうこともあります。
「話す」能力に問題がある場合、
自分の意見や考えがあってもそれをうまく言語として変換できないため「自分の考えがない人」「話を聞いていないから発言できない人」と見られてしまいがちです。
※「お前は何を言っているのかわからない」「話を聞いているのか」とよく怒鳴られたものです。
・「書く・読む」
「書く」能力に問題があると、考えをうまく文章に落とし込むことができないため
まちがった言葉を使ってしまったり、稚拙な文章になってしまいます。
「読む」能力に問題があった場合が一番致命的です。
プログラマは「システムの設計書」に書いてある仕様をもとにプログラミングを行います。
書いてあることを読特ことができなければ仕事になりません。
※「お前の日本語はおかしい」と毎日のように言われていました。
自分では気がついていないですが、
この記事内でもおかしいところがあるかもしれません。
また、文章を読んでもなかなか理解できないため何時間もかけて読み直したりもしていました。
会社側から見ると給料泥棒以外の何者でもないのでしょうね。
そもそもプログラマに向いている人はごく一部
発達障害の有無に関わらず、プログラマという職業に向いている人は少ないです。
・コミュニケーション力
・思考力・・・ネットを使って調べることも重要だが、考えること自らの頭で考える力が必要になる
・解決力・・・問題を解決に導くために力
・向上心・・・IT関連の勉強をし続ける力
これらの能力が欠如している人がプログラマを続けるのは苦行でしかありません。
特に「思考力」「向上心」が特に重要です。
ネットが普及した現代では、自力で考えずともすぐに答えをしることができるようになりました。そんな現代で本当の意味の「思考力」を持っている人は多くはありません。
もちろんネットにある情報で解決できるのであればいいですが、
プログラムを作る上で必要な情報はネットに情報はないことが多いので…。
IT分野は技術の移り変わりが激しく、常に勉強し続けて技術を身に着けられる人でなければ仕事は務まりません。
1年勉強しなかっただけで、最新のトレンドにはついていけなくなることさえあります。
仕事の休憩中もネットで情勢を知り、プライベートでもプログラミングの勉強をする。ここまでしなければプログラマとして戦っていくのは厳しいです。
特にAIの躍進が激しい昨今の様子を見ると今まで以上に大変かもしれませんね。
正直、ここまでプログラム時間をかけられる人なんて余程の物好きだけだと思っています。
最後に
発達障害者がプログラマに向いていないと思う理由をまとめました。
個人の主観をもとに書き上げたものなので
どれだけ読んでくださっている方の助けになるかはわかりませんが、
少しでも参考になれば幸いです。
散々プログラマを否定するようなことを書きましたが、
プログラマになることを全否定しているわけではありません。
発達障害の特性がマイナス要素にならないのであればプログラマになるという選択は将来性を考えた上でも最良と言えます。
仕事で使えるレベルのスキルが身につかなくても、プライベートで使えるスキルを習得できるかもしれませんし…。
何より、最新技術に触れることができる職種でもあるので新しいことが好きな方は楽しみながら働くことができると思います。